RESCUE243 特別強化訓練
「 横須賀のお祭り野郎チーム・鬼の強化合宿 」
富士見平小屋で仲良くなった愛称「横須賀のお祭り野郎」のyohちゃんとウッチーさんがひょんなことから大阪まで表敬訪問をしてくれることになりました。6月12日 水曜日 新大阪駅 午前9時16分着「のぞみ」で来阪です。少し早めに自宅を出発して新大阪駅に向かいました。
渋滞も無く、かなり早い時間に到着しました。携帯で「いまどこ?」「中央出口でスタンバイОKよ!」など冗談交じりの連絡を取り合いながら、
9時16分定刻に到着です。「ようこそ大阪へ!」「久しぶりっす〜!」熱い挨拶を交わしポッチーの待つ車へと歩きました。「このまま芦屋のゲレンデに行きますね!」鬼の特訓のゴングは車内で開始宣言となりました。
  ●第1日目(6月12日)
新大阪駅から1時間ほどで 芦屋・滝の茶屋付近に到着しました。しかし時間が10時を過ぎていましたので 駐車スペースはありません。荷物を降ろしてポッチーが少し下ったところまで車を停めに行いってくれます。私達は一足早く出発し 地獄谷に降りてハーネスを装着し、ロープを出して準備をしながらポッチーを待ちます。準備を始めて間無しにポーッチーが追い付いて到着しました。ポーッチーは今回はドライバーに徹してクライミングは行いません。カメラマン役も自発的に引き受けてくれました。(映っているかどうかの保証はないぞ〜)
 中央稜を外れて堰堤に降り、ハーネス、ギアをセットします。
まずはホワイトフェイスです。「これっ!登るんっすか?」岩壁を見上げお祭り野郎達がおどろきます。ゲレンデによって岩の種類が違う事や富士見平と違うことを体験するため30mのホワイトフェースで基本をレクチャーします。手の持って生き方、靴の置き方、重力線上に体幹を持っていくことなど。今回は簡単なところから岩棚に上がり、いきなり懸垂下降をしました。レスキューの場面でもそうそう懸垂下降は無いでしょうが 高度に馴れる、緊張感を高める、絶対にミスは許されない、そんなことを植えつけるためのトレーニングです。
装備を体につけて現場に向かいます
岩場周辺はかなりの斜面となっており、この斜面を利用し、リュックを使っての背負い搬送の練習をしました。斜面を下る足場の不安定な個所は先導する者によってロープを張り安全策を講じる練習もしました。お祭り野郎達は富士見平小屋から2度もレスキューに出向き背負い搬送を体験しただけのことはあり理解力も優れています。より簡単に手短に背負ってきたリュックを使い、搬送する側もされる側もいかに楽に下山できるかを何度も練習しました。私は体重がそこそこ(?)あるため講習等では実験台になることは皆無なのですがここでは私が一番軽そうです。おかげで未体験の負んぶされる側を体験することができました。負んぶされる側は「落とされるのでないだろうか」と常に不安であること、レスキューメンバー同志のお喋りも気になることなどを感想として述べました。
レスキューの現場では必要以上の会話はしない。ハイテンションでしゃべらない。ひそひそ話は絶対にしてはいけない。しゃべっていいのはメンバー間の伝達事項。傷病者への配慮の言葉だけ。
   
 
岩場に取り付く第一歩を話します。自分のポジションに着いたら専念すること
背負い搬送の訓練
背が低くても背負い方が理にかなっていれば大きな人でも足を引きづることなく搬送できます 
ロープを使う方法、スリングを使う方法、ザックを逆さにする方法、ザック・ストック・スリングを使う方法 
ザックを背負わずに現場に駆けつけるのはいかがなものでしょうか。空のザックに各自ロープを入れて行くぐらいの配慮は欲しい 
既にここで正午を回っています。毛虫の落ちてこない場所を探して弁当を食べることにしました。
姫特製の豆ごはんと鮭&コンニャクの煮物です。「うまいっす!」お祭り野郎達の褒め殺しに遭いそうですがお世辞でもうれしいです。この日はコンビニなどに立ち寄る時間も惜しいため質素な弁当で昼食を済ませました。
 アンザイレンで危険箇所の通過
地獄谷を通過するためにyohちゃんとウッチーさんにロープでアンザイレンで結んでもらい前を歩く者が救助をする側、後ろが救助をされる側と想定しました。「救助が始まると私語は慎むこと。体力が弱っている者にとってレスキュー隊員同志のお喋りは苦痛に繋がること」などを説明し時々「大丈夫ですか?」「あと○○分で小屋に到着しますからね」などの声掛け者を限定し定期的に不安を取り除くことなどを説明しました。
悪路ではロープでビレイをし、ビレイの仕方も岩場によって色々な方法で試みました。
 
ある時は立木で、ある時は肩がらみ、腰がらみなど色々な方法を学んでもらいました。途中の休憩地点では冷たく冷えたサクランボやオレンジなどを食べ行動食の種類なども説明しました。「生の果物はうまいっすね。今まで重いから持たなかったけどこれはいいやっ!」オレンジは一口大に小分けし、ラップで巻かれているので清潔且つ皮などのゴミの軽減工夫なども説明しました。 
休憩を終えたら前と後ろの役割を交代し同じことを体験してもらいました。登山道と違い地獄谷コースはバリエーションルートとなっておりトレーニングには最適なコースです。水の中を歩いたり、滝を登ったりザレ場をよじ登ったりと始めて通過するには大変だったかも知れません。yohちゃんは汗かきらしくヘルメットの中からポタポタを通り過ぎてザーッと音を立てて汗が流れ落ちていました。台風が去ったのはよかったのですが暑すぎて熱中症にかかりそうです。山の中はときおり吹く涼しい風が心地よく快適に目的地のA懸垂岩に到着出来ました。
岩場での登下降・救出・位置固定
A懸垂岩では、7人〜8人の先客がクライミングをしていました。姫が「見て、見て〜大分疲れているからもうすぐ終わるで〜休憩しながら待ってみよう」という事になりました。ガイドらしき複数の人達がツアー客にクライミングを教えている様子で、夏山のトレーニングの様で今回がクライミング初めてという方も含まれていました。リーダーらしき人が近寄ってきて「もうすぐ終わりますから」と声をかけてくれました。その一言がとても親切に聞こえました。

長めの休憩をとりつつ、見学をしつつ岩場の空くのを待ちました。時間は午後2時過ぎだったと記憶しています。「お先に〜」と声をかけて先客グループは地獄谷へと下って行きました。 
A懸垂岩は高さが15メートルほどしかありませんが初心者の練習用にはもってこいのゲレンデです。ビレイの練習や落下時の衝撃2回ほど登攀練習を済ませ「いまから岩場から救助者を降ろす練習しようか」何か不吉な予感がします。どうも私が岩場に吊らされる羽目になりそうです。ウッチーが負傷者である姫を抱えるようにして15メートルの岩場を救出するのです。
ビレイヤーはyohちゃんです。器具を使い衝撃を限りなく少なくしながら丁寧に降ろしてくれました。怪我人を救出中に怪我をさせたとあれば大きな問題となります。「民間の救助隊だから責任は終えません」などと救助される側に不安を与えるような言葉は言語道断であることもしっかりと説明しました。
急な傾斜を傷病者の腰ベルトを持ち 荷重を軽減させながら ロアーダウン
急な傾斜を傷病者の腰ベルトを持ち 膝裏を抱えるようにしながら 体を擦らないように ロアーダウン
懸垂下降のデバイスをハイポジションにセットして下降…途中での作業に備えて位置固定の訓練です
あまりに熱心な講習のためにA懸垂岩で既に時間は午後5時を過ぎてしまいました。「高い新幹線代を使って大阪にきてくれたんだから、それに見合う内容でなければ申し訳ない」そんな思いもありかなり中身の濃い受講内容だったと思います。いつもならジョンの疲労困憊で「今日はこれくらいにしといたろか!」が終了の合図なのですが「今日は日が暮れたので終わろう!」という事になり、遭難時間が迫っているためピラーロック経由をやめて第一鉄塔に登り中央稜を通って滝の茶屋まで戻り着きました。途中に祀ってあるお稲荷様にも感謝の手を合わせることを忘れません。

「喉がカラカラ〜」と我れ先に自動販売機に群がります。腕や足が毛虫の鱗粉でチクチクします。「早く風呂に入りたい!」5人の思いは同じです。帰り道の2号線沿いにある「やまとの湯」に入りサッパリとしたところで姫ハウスにてささやかな夕食会がはじまりました。
同じ時間を特訓に費やしているため前日に用意した「タコ酢、ポテトサラダ、イタドリ」などが手際よく(?)テーブルに並びます。カンパ〜イ!あとは岩場の話、何故こんなに仲良くなったのかなどの話に花が咲き満開です。から揚げは揚げながらアツアツを食べて貰う事にしました。

途中でジョンの娘「里香ちゃん」も合流です。メニューの締めはカレーライスです。みんなお代わりをするという食欲で、午後11時過ぎ明日も早いからとやっと解散となりました。
    美智子姫:記0000