●2014.04.18
あやうく遭難を免れた米国人登山家のジョン・ライターさんが23日、CNNのインタビューに応えた。
記事と写真はCNN様より引用させていただきました。 
ネパール・カトマンズ(CNN)
エベレスト登頂に挑んでいた登山隊が雪崩に襲われ、ガイド役のシェルパ13人が命を落とした事故。
あやうく遭難を免れた米国人登山家のジョン・ライターさんが23日、CNNのインタビューに応え、シェルパに命を救われた経緯を語った。

「山で死ぬ人たちはこれまでにも見てきた」というライターさんだが、今回の事故では運ばれて行く遺体のあまりの多さにショックを受けたと振り返る。
雪崩は18日に発生し、シェルパ13人が犠牲になったほか、まだ見つかっていない3人も絶望と見られて捜索は打ち切られ、21日に16人の慰霊式が営まれた。
ライターさんを助けてくれたのは、24年の経験を持つベテランのシェルパ、ダワさんだった。
雪崩はベースキャンプの上部で氷河の一部が崩れて発生。
ライターさんによると、ダワさんの「かがめ、かがめ」という叫び声に続いて氷が落下してきた。

「見上げると(氷河が)割れるのが見え、崩落する音が聞こえた」。直後に峡谷は氷塊に包まれ、登山路は見えなくなった。
しかしライターさんは、ダワさんが氷の壁の陰に押し込んでくれたおかげで雪崩に巻き込まれずに済んだという。

この雪崩で約50人の登山隊のうち、ほぼ3分の1の行方が分からなくなった。ダワさんはまずライターさんの身を気遣い、それから仲間の捜索を開始した。その日1日中、雪に埋まったシェルパたちを掘り起し、ケーブルに乗せてヘリコプターで下山させる作業を続けたという。

長い1日を終えて就寝する前にはライターさんのテントにやって来て、無事を確認して行った。
ベースキャンプに残る登山隊は23日も亡くなったシェルパたちををしのび、「父親が帰ってこない子どもたちのことを思った」とライターさんは話す。
シェルパの多くは仲間の葬儀や埋葬に出席するために下山し、ほとんどは戻って来なかった。しかしダワさんは戻って来て、一緒に登山を続けることができなくなったと告げたという。
シェルパをしているのはヒマラヤの高地に住む先住民で、命を危険にさらしながら一家の生活を支えている。遺体で見つかった1人、26歳のシェルパも、3人の兄弟と母親を養っていた。

今回の事故で、今年予定されていた主なエベレスト登山計画は相次いで中止になった。今年は入山が禁止されるかもしれないとライターさんは予想する。
外国人登山者が1回のエベレスト登山で費やす額は4万〜9万ドル(約400〜900万円)。
一方、シェルパの1シーズンの稼ぎは6000ドル(約60万円)ほどで、頂上に到達できればボーナスが出る。

しかしシェルパたちは今、たとえ登山が中止されたとしても、全額を支払うよう求めている。
自分たちが冒すリスクに見合った金額を受け取り、今回のようなことが自分たちの身に起きた場合に補償される額を引き上げて欲しいとの考えだ。登山者たちも、シェルパの要求がかなうことを望んでいるという。
今ベースキャンプにいる登山隊は、今年エベレストの山頂には到達できないだろうとライターさんは言う。生き抜こうとする強い意志が失われてしまったとつぶやいた。
(CNN) 米ドキュメンタリー専門局ディスカバリーチャンネル
20日午後、米冒険家ジョビー・オグウィン氏による世界最高峰エベレスト(8848メートル)山頂からの滑空を実況中継する予定だった番組の放映を中止すると発表した。
エベレストで先週発生した雪崩の悲劇を受け、犠牲者の遺族への配慮から中止を決めたとしている。雪崩はエベレスト史上最悪の事故とされ、これまでにシェルパ13人の死亡が確認された。

オグウィン氏は、5月11日に特殊スーツを着て山頂からジャンプする計画を発表していた。雪崩による死者の中には、同氏に同行する予定だったシェルパらが含まれていたという。
ジャンプ自体が決行されるかどうかは不明。オグウィン氏は20日、交流サイトのフェイスブックに「私たちは仲間に敬意を表して山にとどまり、計画を全うする」と書き込んだが、この言葉は21日までに削除されたとみられる。
同氏は今回の挑戦に向け、特殊スーツで飛行訓練を繰り返すなど、何年も前から準備を進めてきた。今年3月のCNNの番組では「人生でただ1度のチャンスになるだろう」と話していた。
 ちょこっと 姫の感想
世界最高峰エベレストで18日にネパール人が雪崩に巻き込まれた遭難事故で、現地の捜索隊は19日、新たに1人の遺体を発見しました。エベレストの事故としては過去最悪となった惨事の死者は計13人となりました。行方不明者は3人。ネパール政府の発表です。
犠牲者はシェルパと呼ばれるガイドなどで、18日早朝、エベレストの南東稜ルートの標高5900メートル付近で雪崩に遭いました。登頂がピークを迎える5月を前に、登山者のためのテントの設営などに向かっていたときの事故です。

遭難されたのは全てシェルパさん。最近のヒマラヤ登山は全てシェルパ任せ。登山者はシェルパさん達が用意したテントに泊まり、シェルパさん達が作る食事を食べシェルパさん達が運んだボンベから酸素を吸い、シェルパさん達が張ったルート上のロープを伝い登山者は登るだけなのです。

これは私たちもアイランドピーク制覇時に同じことをしました。日本の山を重い荷物を背負ってエンヤコラと登ることを思うとシェルパーさん達の有難さが身に沁みます。エベレスト街道沿いにあるロッジに到着して重い荷物を持ってくれたことに感謝をし「ありがとう」と礼を言うと「これが私の仕事ですから」と片言の日本語で笑顔を見せてくれた若者たちを忘れることはできません。彼らが同行してくれたからこそ成功したのです。登山者はこの感謝の気持ちを表現しなければならないと思います。

欧米の登山チームは、総じてシェルパさん達に対する態度が悪く、キャンプで度々トラブルが起きております。(シェルパたちと欧州の登山家たちの間では昨年、乱闘が起きる騒ぎがあった)

助かった26歳のシェルパさんは、キャンプ設営の準備をしていたところ「大きな氷の塊が突然山から落ちて来た。助かるとは思わなかった」と振り返ったそうです。ロープで体を結んだ助手と共に氷の陰に隠れて雪崩をしのいだといい、先頭にいたから雪崩をしのげたが後ろの人たちは死亡したと語りました。別のシェルパさんは「これが私たちの仕事だ。死の危険は常にある」と語ったそうです。

エベレストの頂上制覇は5月15日〜30日がベストシーズンとされ、外国人登山者は今後数カ月で334人が入山を許可され シェルパさん約400人がガイドを務めるそうです。

シェルパさんと呼ばれるネパール人登山ガイドたちは、亡くなった仲間に敬意を表するためにエベレスト登山の一時中止を求め政府が登山保険の上限を見直し福祉基金を設立するまで今月以降無期限ですべての登山をキャンセルする可能性があると迫り、この事態をめぐり、夏の登山シーズンを間近に控えるベースキャンプでは登山家たちとシェルパたちの関係が悪化しているそうです。

シェルパたちは政府に対し死亡した仲間のシェルパさんの遺族や負傷して仕事に復帰できない仲間たちへの補償の支払いに応じるよう求めています。今回の事故では、裕福な顧客のために重いテントやロープ、食料などを担いで凍った斜面を移動するシェルパが、さらされている危険が浮き彫りになった形です。1シーズンの間にシェルパたちは3000〜6000ドル(約30万〜60万円)を稼ぎますが事故が発生した際の保険による補償は十分でないことが多いのです。

日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」関係者は事故を知り、今シーズンのエベレスト登山を中止するかどうかを検討中。(すでに現地入りして準備中)アルピニスト野口健氏は昨年9月30日、「最終的には本人の決断かもしれませんがエベレストはまだ早いんじゃないかな」とイモトアヤコの挑戦を安全面で危ぶんでいました。(今回も番組制作と言う目的のためには金をエベレストの如く積み上げても決行かも?・・)

シェルパーさん達の仕事は日本人では想像できないほど過酷です。装備も想像できないほど質素です。アイランドピーク登攀成功後に、ピッケルも、ハーネスも、防寒着も、登山靴もプレゼントして帰国しました。

亡くなられたシェルパさん達に対し心よりお悔やみを申し上げます。
★★★★★ 続  報 ★★★★★
エベレストであまりにもシェルパに甘え過ぎていた登山家たち
エベレストの史上最悪の大遭難を受けて起きたシェルパたちの登山ボイコット。現地に向かった野口健氏は「エベレスト登山に素人が増えた」とのベテランシェルパの話を聞いた。

 今春のエベレストで発生した史上最悪の大遭難。犠牲となった16人全てがシェルパ。そして、シェルパたちによる登山ボイコット。遭難者を出した登山隊だけではなく主要な登山隊全てのシェルパがボイコットし、山を下った。シェルパのサポートがなければ登山は続けられない。背景には何があったのか。直接、シェルパたちと話そうと僕はカトマンズに飛んだ。

 シェルパや犠牲者の遺族、また政府高官からネパール山岳協会会長まで幅広く話を聞くことができた。「かつては各国からよりすぐりの登山家が集まった。彼らもシェルパと一緒になって荷揚げやルート工作を行ったものだ。しかし最近ではツアー登山隊が増えたのかピッケルの使い方もよく分かっていないような素人が増えた。彼らは安全な山で高所順応をし、その間にわれわれがエベレストで何往復もしながら荷物を上げていく。シェルパの負担が増えたのだ」とベテランシェルパ。

 昨年のエベレストでは外国人登山家とシェルパの間で乱闘事件が起きた。ネパール山岳協会のアンツェリン会長は「ヨーロッパではシェルパが暴力をふるい、野蛮だ、とネガティブキャンペーンが繰り返されたが、今まで厳しい労働環境にジッと耐えてきたシェルパの気持ちも理解してほしい」と話す。過去の出来事だが、ある隊の隊長が短刀でシェルパの額を切りつけたこともあるのだ。
 
朝日新聞デジタル 5月4日(日)5時38分配信から引用させていただきました
先月、エベレストの雪崩でシェルパ(ネパール人ガイド)16人が死亡・不明となった事故を受け、登山家の野口健さん(40)がネパール山岳協会(NMA)を通じ、約1千万円をシェルパの家族に寄付する。5日にカトマンズで発表する。

命にかかわる危険と隣り合わせの仕事なのに、補償が乏しいシェルパの待遇改善を広く訴える。
雪崩は4月18日、エベレストのベースキャンプ(BC)〜第1キャンプの5800メートル付近で起きた。荷揚げをしていた13人が死亡し、3人が行方不明になった。
現場は巨大な氷塊が積み重なるアイスフォール(氷瀑〈ひょうばく〉)。
ルート中、最も危険な箇所だ。過去にも死亡事故が多発している。
エベレスト登山は現在、商業公募隊と呼ばれる「ツアー登山隊」が主流だ。シェルパが山頂まで固定ロープを張ってルートを設置。
食料や酸素ボンベを荷揚げし、毎年数百人の登山客を山頂に導く。
2012.3八ヶ岳・根石のコルで姫と野口健氏