夏山トレーニング
 芦屋川から地獄谷を経て六甲山を越えて有馬温泉へ… 快調、快調、会長も快調!
「夏山トレーニングに行きませんか?」と声をかけると「OK」の返事が返ってきました。阪急・芦屋川駅午前8時30分集合です。今日のメンバーは靖ちゃん、junkoちゃん、ウッチー会長、ジョン、姫の5人です。5月だと言うのに真夏のような暑さが待ち構えていました。
08:30 阪急・芦屋川駅
09:30 サメ岩
09:50 Ą懸岩
10:30 ピラーロック
11:40 雨ケ峠(昼食)
2:05 
13:25 一軒茶屋
13:40
14:22 あづま屋 
14:30
15:05 虫地獄ゴール
全員そろい、朝の挨拶を済ませ「姫がトップ」と言われましたので、とにかく滝の茶屋まではスロースロー、ビスタリービスタリーで歩きました。滝の茶屋までを速度をあげると後が続きません。何度も苦い体験しているのですが、ついつい他の登山者につられて「負けてなるものか!」と急ぎ足になるのです。今日は有馬までの長い距離ですので自分たちのペースを乱すことなく歩を進めました。
ゆっくり歩くと不思議と滝の茶屋に到着してもみんな平気な顔をしています。 
地獄谷の登り口では、ロープ無しなので十分注意をして行こうと意思統一をしました。誰が怪我をしてもトレーニングどころではなくなります。本番さながらの緊張感を持って地獄谷遡行のスタートです。
夏山トレーニングのため確実に、安全に歩行スタイルやストックの使い方などの基本をしっかりと復習し、ゆっくり一歩一歩を大事に歩こうと言うルールで地獄谷をスタートしました。「このコース久しぶりやわぁ!」歩き始めは少しぎこちないようにも見えましたがすぐに感を取り戻しスムーズに滝、岩、と水をうまく避けて通称サメ岩まで順調に進みました。この日は地獄谷の中では珍しく登山者とは出会いませんでした。貸し切り状態で水の流れのそばを歩きとても涼しかったです。ときおり吹く風もたまらなく心地よかったです。中央稜コースは日差しもきつく暑いだろうなぁ! 
サメ岩では必ず休憩することにしていて、水分補給とレーションを口にしました。数ある滝の中には苔の多い滑りやすい滝もあれば簡単に通過できる滝もあります。しかし心の油断が大きな事故につながりますので適度の間隔を取りながら先に登る人が万が一岩場から手が離れた時のフォローに真後ろに立って次の人にバトンタッチします。

1時間少しでĄ懸岩に到着しました。ここでも水分補給です。これからの山行はこまめな水分補給を取らなければ熱中症にかかってしまいます。トップを歩く者は後続者の息使いを聞きながら適材適所で短い休憩をたびたび採っていくことも必要だということも実践しました。 
久しぶりの沢歩きにもかかわらず、どんどん攻めていきます サメ岩  おちてるぅ
Ą懸岩からピラーロックに向かいます。今までは水の流れとともに進んでいましたので暑さ知らずでしたがここからは太陽とにらめっこしながら汗をポタポタと地面に落としながらピラーロックを通り抜けました。ここでまた休憩です。レーションを体に放り込めば疲れも吹き飛びます。少し重たいですが果物やジェリーのような口当たりの爽やかなレーションが、元気が出るように思います。
雨ヶ峠で昼食でーす 本庄橋の下流の渡渉点
 
大きなイノシシと遭遇しました     
ピラーロックから風吹き岩横を通過し六甲山最高峰の看板を見ながら雨ケ峠にさしかかった時、トップを歩く姫が恐ろしい顔をして後ずさりしてきました。「大きなイノシシやっ!」丸々と太った黒い物体がノッソノッソと近づいてきます。いままで六甲山でみたイノシシの中で一番大きかったと思います。イノシシの住むところを歩かせてもらってるのですから慌てず騒がず目を合わさない様にしてイノシシが通り過ぎるのを待ちました。猪突猛進してこられたら全員怪我をするところでしたがおとなしく下山していきました。 
イノシシと遭遇してリズムを狂わしたのか姫が「あづま屋を予約してあるから弁当タイムにしよう!」ジョンは一軒屋まで行くつもりの様でしたが多数決で雨ケ峠で昼食となりました。どうも姫は弁当を食べて早く荷物を軽くしたいみたいです。あづま屋の予約なんてできるはずがありません。幸いに誰も使っていなかったので、テーブルを囲み、ゆっくりと腰を掛けて和やかに至福の時間を過ごしました。 
本庄橋の上流にあるダムは土砂が入りすぎたのか綺麗に掬い上げられていました 
此の辺りの景観は大きく様変わりしていました この木の橋が来たら一軒茶屋はもうすぐです
このコースで誰もが嫌う長くてきつい雨ケ峠を抜けると七曲り峠にさしかかります。「ここも長いなぁ!誰かタクシー呼んでんか〜!一軒茶屋でかき氷が食べたい〜」とジョンが叫びますがみんな聞こえないふりをして、一歩づつ丁寧に、正しく足運びをして進みました。コースを歩くのではなく疲れないための歩き方はどう工夫すればいいのか、体はどのくらいの傾斜がいいのかなど話し合いながら1時間ほどきつい登りを黙々と歩きました。「木の橋が見えましたっ!」この木の橋は一軒茶屋が近づいたことを知らせる目印となっているのです。
もうすぐ到着だと安堵したのか木の橋の上で記念写真を撮ろうと言うことになりました。記念撮影後まもなく歩いて行くと一軒茶屋の屋根が見えてきました。「着いたよ〜!」
一軒茶屋に到着でーす
駅を出発してから5時間でやっと登り坂コースを終えたことになります。あとは有馬までの下りが残るのみです。長めの休憩を終え、トップをウッチー会長にバトンタッチしました。ゴール後のビールが待っているとなると足取りも軽やかです。一軒茶屋から40分ほどで下り道にあるあづま屋に到着です。途中で前を歩くジョンがものすごい勢いで後ずさりしてきました。「えっまたイノシシ?」どうもシマヘビが道路を横断中だったらしく、大の蛇嫌いのジョンが血相を変えるシーンもあり滑稽でした。
一軒茶屋から有馬への登山道は大きく崩壊しており危険個所が何か所もありました。いずれ大雨のたびに、もっと大きく崩壊していくだろうと想像できるほどのひどい崩落でした。
ゴールの虫地獄に到着したのが午後3時、予定通りのコースタイムです。
「お疲れ様!」
「みんなよく歩いたよね」と感動を声に出して、またまた記念撮影です。
「かんぽの宿」の前を通り、帰り道にある炭酸温泉に立ち寄り、お土産やの立ち並ぶ通りまで降りてきました。町の中は平日にも関わらず多くの観光客が訪れていました。反省会をするお目当てのお好み焼き屋さんが閉まっていたため、立ち飲みバーで乾杯となりました。
「反省することもないのに反省会の会」を愉快にして解散。ウッチー会長は三ノ宮行のバスに乗り夕方の会議に出席するらしいです。私たちは宝塚行のバスに乗りました。地獄谷を通り有馬まで歩いたにもかかわらず、さほど疲れも残っておらずみんな元気にそれぞれが帰宅の途に就きました。
( 教 訓 )
このコースで一番大事なのは滝の茶屋までの長い登り坂の「歩く速度」だと思っています。
多くの登山者やハイカーはウオーキングモードでかなりの速度で滝の茶屋までを歩いています。
「負けたらいかん」そんな思いもあり同じ速度で登って行くのが常です。
しかし、そんなときは決まって大汗をかき疲労度いっぱいで楽しくない登山をしてしまいます。
「遅いなぁ・・もっと早く歩けよ」と言われるくらい、ゆっくりトップを歩きました。滝の茶屋でメンバーの顔色を見ましたが
爽やかな顔をしています。汗は滲んではいましたがポタポタ落ちるほどではありませんでした。
この状態で地獄谷に入いれば息は上がらず、体力に余裕もあり快適に小便小僧の滝まで行くことができます。
登山は体力の競い合いではありません。下山を3時と決めたら3時にゴールするようにゆっくり歩けばいいのです。
文:美智子姫