行ってきました。上信越&北関東の日本100名山を辿って
雨飾山・苗場山・奥白根山・男体山・武尊山・皇海山
5月に計画を始めて約1ヶ月。梅雨の状態を気にしながら計画を続けました。気象庁の長期予報では「梅雨の前半は例年雨は少な目で、今年もその兆候あり、梅雨の後半は大雨に見舞われる恐れあり」とのこと。夏シーズンでも一週間も山に行けば2日は降られることだしたぶん大丈夫!行こう~

6月6日(土曜日・晴れ)
宇都宮チームから「雨飾山を一緒に登りましょう」と声がかかり急きょ、前夜発となりました。いつもの如く、大きな荷物で後部座席は満杯です。21時30分大阪を出発しました。名神、北陸道を経て糸魚川出口を出たところで宇都宮チームと待ち合わせです。ほぼ同じ時間に合流でき挨拶もそこそこに「ガソリン入れてきます」との宇都宮チームの声にFitのメーターを見ると「あかん・・うちも入れるわっ!」いつもはポッチーが燃料確認係なので安心しているのですが今回は留守番のためガス欠を起こすところでした。燃料補給を終え近くにある運動公園にFitを駐車し、宇都宮号に乗り移り、雨飾山登山口へと向かいました。とにかく寒いです。
第1日目・6月7日(日曜日・晴れ) 雨飾山 (1963.2m)
雨飾山荘06:55~頂上12:00~13:00~雨飾山荘17:00 
雨飾山は、360度の展望があり、「猫の耳」と呼ばれる二つの山頂で、双耳峰の南峰には三角点があり、北峰には石仏が並んでいます。雄大なその姿は、集落を守る神の山として、人々から慕われています。雨飾山の名前の由来は山頂に祭壇を祭り雨乞い祈願をしたことが、由来と伝えられています。この山は糸魚川の漁師たちが海に出たときの目標にもなっていたそうです。
駐車場に車を止め 登山口で記念撮影 雨飾山荘 山荘入口の登山届箱
雨飾山荘近くの駐車場に車を止め出発準備をし、早速歩き始めました。いきなり石コロ道の急登が始まり不動明王のお社を左にとり「難所のぞき」までは石ゴロゴロの道が続きます。薬師尾根へと辿っていく道は、よく踏み込まれており、いい感じなのですがところどころにカエルの卵が路面に産み付けられているくらい沼地歩きもありました。木立の陰を歩くこの道には、さしたるポイント標識も無く、辛うじてアルミ製の長いハシゴ場や、少し小さな広場を持つ休憩場所があるだけ。地図のポイントとなっている「中の池」は雪の中です。
 梯子場 難所のぞき    鬼ヶ面山 コケモモの花 
ここから45度の雪壁を登ることになります。見上げれば4~5人の登山者が悪戦苦闘している姿が下から見て伺えます。ここでアイゼン装着。準備して取り付いたものの雪面がグサグサでキックステップを切りながら登って行くのですが滑ることも何度もありました。フロントキック、フロントポイントを打ち込んでも思うようにささりません。ピッケルを打ち込んでも5センチくらいしか入らず、表面に2~3センチはグサッとくるのですが中の方はアイスバーン化しているところも多くありました。キックステップを切りながら登りますが人の足跡に乗ると一歩が大きくて、狭くするために半分くらいのところにキックステップを切ると右足と左足の置き方がチグハグになり「おっとっとっ」と苦労しました。
標高差800mくらいの雪壁なのですが一気には登れません。雪壁の途中で休憩しながらトップを交代しながらやっと上部まで上がりホッと一息。長めの休憩をとり、まだ2~3か所のトラバースをし、笹平に到着。このころ、もう下山をしている人もいました。すれちがう登山者のほとんどは小谷村コースからの入山の様です。
 鬼ヶ面山方面
 およそ40度の傾斜を登ります
 
 姫川 駒ヶ岳方面
雨飾山頂の基部から見上げるピークには4~5人の登山者の影がうかがえます。「う~ん…これを登らないと頂上には到着しないのかぁ」ぐっと気合を入れてジェージェーハアハアと駆け上がりました。
ジョンも宇都宮チームも写真を撮っているのか、なかなか姿が見えません。しばらく待って頂上は4人一斉に到着することにしました。南側の三角点に「デ~ン!」姫が叫びました「来たぞっ~!78個目の百名山!」宇都宮チームも負けじと「67個目の百名山ゲット!」そう叫びながらトモちゃんとハグをしました。

360度の絶景です。北に日本海、能登半島、右奥には佐渡島らしき島が見えます。西の方向には火打山がくっきり見えます。南には高妻山だろうか?西を見れば白馬三山を含む白馬の稜線がくっきりと見えます。爺が岳にはじまり、鹿島槍、五竜、唐松、白馬槍、杓子、白馬本峰、蓮華それらの奥には雪蔵岳らしき山も見えています。とにかく絶景です。
 白馬山稜方面
 雨飾山 北峰  着いたぞー
山頂に1時間ほど滞在しました。私たちにしては珍しく長い時間です。北峰の、お地蔵様にも挨拶をし下山開始となりました。登りもきつかったけれど下りもきつい。途中で元気そうな若者3人が大汗をかいてやってきました「あとどのくらいで頂上ですか?」と聞くので「ゆっくり登ってあと1時間!」「うっそでしょ?」「うそですよ。あと2~3分で到着ですよ」「冗談きついっす~お母さん!」笹平から登ってきた道を下って行くのですが中池上部の雪渓は難所中の難所です。宇都宮のリジュ君はどうしても滑って降りたいと言い出し先頭を切って雪渓へと入って行きました。我々の制止を振り払いレスキュー用のリュックの背面を尻に敷き、アッと言う間に滑って行きました。(スキーのベテランらしい)私たちはトモちゃんをサポートすべく、姫が先頭、ジョンがラスト、真ん中でカラビナスルーでトモちゃんをはさみ踏み跡に足を入れながら下り始めることにしました。
雪渓に入ってまもなくトモちゃんが転倒。斜面を滑り始めました。ジョンと姫が制動をかけ一度は止めたのですがトモちゃんが不安のあまり、どうしていいのかわからず動いたため再び斜面を勢いよく滑り始めました。傾斜がきついためかなりのスピードです。ジョンは足で方向替えをしながらダケカンバの木に衝突し止まりました「止まった!生きてる!」

その後は冷静に「ストックがない、帽子がない、メガネがない」見上げるとはるか上の方に残っています。ペットボトルだけは下まで転げ落ちてしまいましたがストック、帽子、メガネは回収。滑り降りたリジュ君は50メートルほど下から声を掛けてきますが届くはずもありません。トモちゃんは恐怖を感じて雪渓を降りられなくなりました。端にあるダケカンバの枝につかまりながら励ましながら下って行くと「夏道が見つかりました!」とリジュ君の声が聞こえました。斜面を斜めにトラバースして夏道に到着、ジョンの腕の殺傷の手当を終え夏道を30メートル下ると再び雪渓を下らなければなりません。
 滑落それともシリセード 各自楽しんでいます 
ここからロープ替えをしトモちゃん、姫、ジョンの順に降りて行きました。リジュ君は再び尻シェードで滑走「お~い彼女を見捨てて行くのかよ~?」3人で一歩一歩下りスタカットでトモちゃんをおろし、姫がトモちゃんのところまで降り、姫がビレイをしてジョンが降りてくる。これを何度か繰り返して順調に降りてきました。「順調~順調~」途中でストックが落ちています。たぶん先に下った人が落として行ったのでしょう。トモちゃんにそのストックを使わせながら三分の二ほど過ぎたあたりで、今度はジョンが足を滑らし姫に衝突しました。ジョンと姫が同時に滑り出し、ロープで結ばれていたトモちゃんも滑り出しました。ピッケルも聞かず、3人もろとも墜落、リジュ君のところに流れ着きました。「俺のおかげで止まったぜ!」「バカヤロー放っておいても今度は止まるぜ」やっとトモちゃんの顔に、かわいい笑顔がもどりました。
「よしここからは危険性もないから尻シェードを楽しもう」

多少の擦り傷や切り傷はあったもののみんな無事で何よりでした。パーティとしての達成感は大きく膨らみました。「感情に浸ってる場合ではない。早く下山しないと日が暮れるぞ」一生懸命下って午後5時ゴール!雨飾山荘でお風呂に入り、汗と恐怖を洗い流し雨飾登山は無事終了しました。
 JONがまたこけた  まったく世話がやけるなあ  さよなら…また一週間後ね-
運動公園に止めているFitのところまで送ってもらい宇都宮チームを見送りました。「また皇海山でね!」Fitに乗り翌日登る予定の苗場山の麓の秋山温泉郷に向けて走り続けました。今日の無事を祝って豪華夕食をしようと思っていたのですが店が無くコンビニ弁当を買い小赤沢の道端で車中泊となりました。グットナイト!
文:美智子姫