「日本百名山探訪 東北・上越の山 巻機山」
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●第7日目(10月13日・火曜日)曇りのち雨 巻機山(1967m)・井戸尾根コース
桜坂駐車場-五合目-ニセ巻機山-避難小屋-巻機山山頂…往復登山
巻機山は新潟、群馬の二県にまたがり、頂上付近の豊富な高山植物と神秘的な池塘群、緑の原生林に覆われた山麓、頂上からの展望の素晴らしさで知られています。
美しい風景に恵まれている割引沢には、名のごとく空に向かって吹き上げている「吹上の滝」や、真青な水を深くたたえて流れ落ちる「アイガメの滝」など、数々の名瀑や奇岩があり、ます。春にはシャクナゲ・ニッコウキスゲ・ハクサンコザクラなどの珍しい花々が咲き誇ります。複雑に入り組んだ沢筋はかなり遅い時期まで雪が残り、夏の暑さを忘れさせる涼しい雪渓歩きが楽しめます。
雨は降っていないものの今にも降り出しそうな不安定な天候となりました。早朝に1台の車が入ってきましたが既に出発した様子です。午前6時予定どおり出発することができました。日帰り用のリュックに替えてゆっくりと歩き始めました。ここの紅葉はあまり見られず高度をあげるに従って楽しみが待っているのかも知れません。歩きやすい道だと褒めた途端に大きなゴロゴロ岩の出現です。夜に降った雨で濡れていて細心の注意をしながら登りました。道標は3合目、4合目、などの合目表示になっておりとてもわかり易かったです。
タイムスケジュール
桜坂駐車場 06:00
5合目(焼松) 07:16
6合目(展望台) 07:55
ニセ巻機山 09:07
巻機山無人小屋 09:26
巻機山頂上 10:00
巻機山無人小屋  10:26
10:45
桜坂駐車場 13:30
ムラサキシキブやマンリョウが奇麗に咲いていました。 
米子沢…沢登の人気コースです
栗の実を拾いました…撮影が終わったらリスさんやクマさんのために元に戻しておきました。 
合目表示を辿りながらの登山です 
 
中央の岩場が天狗岩、沢はヌクビ沢です。天狗岩の左側に割引(われめき) 沢
 6合目に展望台がありましたがあいにくの天候で視界は悪くガスの中を高度をあげていきました。かなり疲労困憊しているはずなのですが案外に2人共スムーズな足運びでコースタイムも上々です。
ニセ巻機山と言うおもしろい地点からは遮る木々も無く風がまともに吹いて寒さを感じました。巻機山には、とてつもなく長い階段があり「これでもかっ!これでもかっ!」と言うぐらい長くてつらい木の階段が続きました。二人とも無言でひたすら登ります。そういえば宇都宮チームのトモちゃんに「姫たちは仲が悪いのですが?」と聞かれたことがありました。何故そう思うのかと尋ねると無言で歩いているので仲が悪いのかと心配していたそうです。「私達にはお喋りする体力が無いの。お喋りすると疲れるでしょ?だから登山中は必要最小限の会話しかしないの」と応えておきました。(笑)
 巻機山山頂だーい。巻機山山頂碑のある御機屋山頂 巻機山山頂で 飛んだよー
遠くに小屋らしきシルエットが見えてきました。小屋の周辺は木道が整備されていて池塘もあり雨に濡れて美しかったです。「小屋は帰りに寄ろう。先に頂上を踏もう!」と小屋を通過し微妙に傾いた木道を歩き小屋から約30分ほどかかり頂上に到着です。降り続けた雨が頂上に到着した時だけ止んでいました。「頂上で雨は止むって言った通りやな」姫予報士は最近老化現象かハズレが多いのですがこの日ばかりはピタリと当たりました。
 織姫ノ池にババ姫が・・・
南越後の秀麗巻機山は、機織姫の伝説が名前の由来と聞きます。
戦国の時代に、上杉の家老として名高い直江兼次(樋口与六)が生まれ、坂戸城城主景勝と伴に幼年期をすごしたことで有名な越後上田庄あたりは、古来より越後上布と呼ばれるつむぎ織りの里でした。
昔むかし、若く働き者の里人が、母親の病に効くという薬草を探しに山奥に分け入り、日が暮れて迷ってしまい途方にくれていたところ、山中に一人住んでいた機織の姫が、夜道を導いてくれて助けたと云われています。その民話にちなんで織姫の池と名付けられています。
山頂でフリースを着こみ無人小屋まで戻ってきました。小屋に入ると誰もいません。中はとてもきれいです。まだ新しくてトイレも清潔そうでした。地元の山岳会「巻友会」の方たちがきちんと管理をされている様です。小屋でおにぎりやレーションを頬張り下山の途につきました。途中で単独行の女性と出会いましたが悪天候の中、勇気があるなぁと感心したり、呆れたり(もし途中で何かアクシデントが発生したらどうするんだろうか?) 
6合目まで降りてきたあたりで大きなザックを背負った若者軍団が10数名登っていきました。「大学生ですか?」と聞くと「いいえ同じ職場の仲間です」とのこと。平日が休みの会社で仲間同士、和気あいあいと山登りを楽しんでいる様子でした。 
雨は雨なりの良さがあります。晴天では見ることができない風景がたくさんあります
帰ってきたよ~  そこが駐車場です
すっかり雨も上がり昼過ぎには駐車場に到着です。標準所要時間は8時間45分のところ何と7時間30分でゴールできたのです。驚きです。
全ての山行を終えて荷物整理をすることにしました。ドロだらけの雨具を入れる袋、洗濯物をいれる袋、登山靴の袋と口が閉まらないほどに満タンとなっています。登山靴は泥がこびりついていました。
荷物整理を済ませ電波状態の良い場所まで移動し公益社 日本ガイド協会の運営する「山と自然のネットワーク コンパス」に下山報告をしました。この制度は下山報告を受信すれば登山者の家族に下山報告が届くと言う優れたシステムです。山岳会で加入すればそれぞれが連絡を入れずとも一斉に下山報告が家族のもとに届くのです。
おーい、JON。どんな歩き方をしたらそんなに汚れるのですか?
オイラ、ガニ股だかんね、内股の人のようにはいかないのさ。(左はジョンの足、右は姫の足)
 川端康成著 小説 「雪国」の舞台 越後湯沢温泉の駒子の湯を訪ねました。
お風呂の準備をして越後湯沢まで走り「駒子の湯」で汗を流すことにしました。入浴料500円でりっぱな温泉です。「駒子の湯」は「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」で有名な小説「雪国」のヒロイン駒子にちなんで名前が付けられたそうで、とても風情のある温泉です。館内には「雪国」展示コーナーもあり、落ち着いた、たたずまいで休憩室には湯沢町ゆかりの作家・川端康成の「雪国」の資料展示があります。実在のモデルがいたとされる、「駒子」もきっと同じ温泉につかったことでしょう。湯船の中には昔の駒子達が沢山入っていました。(笑)
越後湯沢から高速に乗ったものの到着時間が午前1時と深夜になるため途中で何度か仮眠を取りながら10月14日の夜明けを待って大阪に向かい14日午前5時自宅に到着いたしました。これを以て今年の百名山ハンターは終了と致します。来年の雪融けを待ちセミの声が聞こえたらあと4座(光岳・聖岳、間ノ岳、塩見岳)そして、そして山頂を踏めなかった利尻岳の山頂を再び踏み「日本百名山」の幕を下ろしたいと考えています。これで96座終了!
 「ジョンの感想」
最近山に登る度に感じるのが、軽装備登山者や単独行登山者の多いことです。とくにこの時期の山は一番危険かもしれません。天気の急変による気温の低下、初冠雪など危険な要素がいっぱいです。また雨天の場合、体を濡らすと行動不能に陥ることも多々あります。
飯豊山でも体を濡らして這う這うの体で下山していく登山者や濃霧にまかれて彷徨していた登山者などと出会いました。自分の荷物が完ぺきとは言いませんが、重たいから携行しないのではなく、安全のために必要なものは携行して登山したいものです。
 「ひめの感想」
東北の山は、雄大ではありますが「てごわかった」と感じています。3座まとめてよくまあ制覇できたものだと自分の足を褒めてやりたいです。若い2人組と一緒の山行もありましたが互いに(2人)と(2人)の2組を尊重し相手に合すことなくそれでいて相手を見守ることがスムーズな山行だったと思っています。3人パーティなのにバラバラで歩いた人達や小屋の中にツエルトを張る人達、装備の不備でやむなく下山した人、ソロで彷徨していた人達を見て沢山の教訓を得ることができました。山を安全に登るためにはどうすればいいのかを今後も学びながらあと4座頑張りたいと思います。ある人が言いました。「百名山終わったら死ぬで~!」笑い話みたいですが的中しているかも知れません(笑)
目的を達成した後は老婆になるのか、はたまた次なる目的を探し求めるのか今は未定ですが健康で年相応の生き方ができたらと思っています。今回も山行を共にしてくれた仲間たちに感謝と留守を守ってくれた家族にも感謝を言いたいと思います。「ありがとう!」
 
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写真:美智子姫●●