2016
柿の葉寿司と鹿と紅葉と…
雨上がりの朝を迎えました。「散ったかな・・」そう言いながら奈良公園に紅葉狩りに行く計画を立てました。私の家の近くを走る阪神電車が近鉄電車と連携し奈良まで乗り換えなしで走るようになりました。その頃から一度「終点まで乗ってみたいね」と言っていたことを思い出して実現することにしました。箕面の森のアップダウンでは少々手こずりましたが、奈良公園は平地なのでポッチーも歩けるのではないかと思い出かけることにしました。 
千鳥橋駅から阪神電車に乗り一駅先にある西九条駅で午前8時30分にジョンと待ち合わせです。奈良駅まで片道760円と少々お高めの運賃です。大阪難波を経て八尾駅、生駒駅を通過し1時間足らずで終点奈良駅に到着です。駅前に出てみると沢山の観光客が、うごめいておりました。観光協会のパンフレツトも充実しており地図を入手し出発です。以前にはウオーキング協会主催のイベントで奈良には何度も訪れていますが集団で「歩く」ことだけに集中し、周りを見る暇もありませんでした。今回は、「ゆっくりウオーク」のため、初めて味わうゆとりのある新鮮な気分です。
 衣掛茶屋と猿沢の池
 猿沢池で異変に気が付きました。「ん?カメがいてへんで~」池の岩の上で親ガメの上に子ガメ、子ガメの上に孫ガメと昔から修学旅行生にも人気のあった猿沢池のカメがみあたりません。昔から「鯉・亀七分、水三分」と言われる程、鯉や亀が多いという猿沢池。覗き込んで探しても亀たちはどこにも見当たりませんでした。帰宅後調べてみると外来の「カミツキガメ」が見つかって、池の掃除が行われたとのこと。日本固有のイシガメが外来種のミドリガメに駆逐されてしまっていたらしいです。(ミドリガメ9割、イシガメ1割)
猿沢池は世界遺産である興福寺に隣接しているだけに、県の担当者の方も「そんな場所で殺生はしたくない」と引き取り手を探し、須磨海浜水族園が引き取ってくれることになり水抜きを開始し池の底の掃除に取り掛かったということです。
鹿には紅葉が良く似合う
ポッチーの歩調に合わせて歩くと写真もゆっくり撮れるし、鹿ともゆっくり戯れることができます。公園のあちこちで「鹿せんべい150円」の旗が風に揺れています。鹿せんべいを買い、手に持つとすぐに数匹の鹿が近づいてきました。「せんべいが見えるのか?それとも匂いか?」とても感の良い鹿の集団です。無くなると私からサーッと離れていきます。そしてせんべいを持つ観光客のもとへ去っていくのです。(賢いね)道路には鹿の糞やオシッコがいっぱいで踏まぬように気を付けて歩かなければなりません。店先に座る鹿はまるでアイドルみたいでした。大声で話している大勢の人達の会話を聞いていると「ここはどこ?日本じゃないみたい!」私達が外国に観光に来ているみたいな錯覚に陥るほど外国の人達で溢れかえっています。しかも団体で・・・バスの駐車場には高知、三重、習志野、品川と他府県ナンバーのバスがズラリと並んでいます。ハンドマイクを持った警備員が声を涸らして「駐車場は予約で満杯ですっ!他に廻ってください」と叫んでいました。きっと観光バス優先なのでしょう。駐車場を探す車で道路は大渋滞を引き起こしていました。奈良公園へお越しの際は公共交通に限りますよ。ほんま。
奈良は観光客が少ないと言われていましたが、何の、何の・・・潤っていますよ~海外の人たちのおかげでっ!(しかし・・・宿泊先は奈良ではないのかな?)
南円堂
 鹿さんお元気? お前も元気か?  観光バスの駐車列 このような列が3列も4列も並んでいました
 奈良国立博物館 庭園
二月堂・三月堂 界隈 
紅葉も今が見頃といった感じです。箕面の森も武庫川渓谷も、奈良公園も、同じカエデの木であっても環境が違えば違った美しさに見えるから不思議です。春日大社まで行きたかったのですがポッチーの体調も気になるし併せて腹の虫が鳴き始め、柿の葉寿司を求めて駅へUターンすることにしました。歩道は行き交うことが難しくなるほど観光客がドッと押し寄せてきています。修学旅行生を率いる添乗員は大声で「強行突破してください~」と叫んでいました。きっと鹿に見とれていると目的地まで行き付かないと思ったのかもしれません。とにかく物凄い人の数でした。やっと柿の葉寿司の店を見つけたのですが満席で名前を登録して時間待ちしていたのですが待ち切れず柿の葉寿司だけ買って駅前の商店街までもどりました。やっと落ち着ける店を探し美味しく柿の葉寿司セットをいただきました。歩行数わずか12,000歩ではありましたがリハビリウオークには、ほどよいコースでした。
 奈良の県庁前は擦れ違いが出来ないほどの人通りでした
ポッチーの感想
出かけるまでは「おっくうだ、留守番するわ」と言う気持ちでしたが、いざ遠くへ出かけて外の空気を吸ってみると気分は良く誘ってもらったことに感謝しています。
日頃は自宅周辺をリハビリ目的で歩いていますが遠出すると また別の気分になれるから不思議です。
でもゆっくり歩いたはずなのに 鹿と戯れる姫を置き去りにして 「歩くのが早すぎる」って何回も怒られました。
この日奈良公園には内外から多くの観光客が訪れていましたが その中でも 奈良公園を一番楽しんでいたのは姫でしょうねえ。
 ひめの感想
「柿の葉寿司が食べれるなら行こうか」そんな不純な動機でしたが奈良もいいところでした。鹿と、もっと遊んでいたかったです。かわいい目が愛らしくいつまでも見ていたかったです。今年は「六甲山でイノシシ、箕面はおサル、和歌山ではパンダ、奈良のシカ」と動物とのふれあいで心を癒してもらえた気がします。野生動物は増えすぎると色々と問題もありますが人間と共存出来ていた良き時代までさかのぼる環境作りが整えば子どもたちへの生きた教材として役立つのではないでしょうか。家庭で飼育していたミドリガメを、人間のエゴで猿沢の池に捨てたのが原因だそうです。
飼うなら死ぬまで面倒を見る。それができないなら飼わない。一時の感情で飼育すると動物達が可愛そうです。
文:美智子姫