富士見平小屋を起点に 日本百名山を登る 「金峰山&瑞牆山」
 

五つ星レストランより素敵な ランプの宿 「富士見平小屋」
●第三日目 5月29日(火曜日)晴れ  
さわやかな朝を迎えました。小鳥のさえずりも聞こえます。小屋から見える富士山も美しく見えています。「富士山見えたよ〜!」テント場の若者たちも走り寄って来てうつくしい富士山の雄姿を写真に収めていました。朝食のメニューはフランスパンとショウケンジキノコ入りのオムレツと小屋自慢のコーヒーを頂きました。
タイムスケジュール
07:10 富士見平小屋  出発
07:40 天鳥川
08:36 大ヤスリ岩
09:15 瑞牆山山頂  
09:50
10:17 大ヤスリ岩
11:10 天鳥川
11:45 富士見平小屋 到着
00:00 小屋にて荷作り後
きのこうどんをいただく
12:40 管理人さんとともに下山
静かな小屋の朝 オラウータンの歯磨き 朝食の支度 若者達の朝食
ブルーマウンテン きのこのオムレツ パン いろいろなジャム
午前7時10分、瑞牆山へ向けて出発です。昨日のヒョウのおかげで空気がきれいに洗い流されたような清潔感が溢れています。なだらかな坂道を少し登り、ゆるやかなアップダウンを繰り返しながら進んでいくと、急激な下り道となります。天鳥川へは急な九十九折りの道が続き小石が敷き詰めてはいますが浮いているところもあり少々歩きにくく感じました。小屋を出て30分ほどで天鳥川(あまとりがわ)に到着です。衣類調整と水分補給を済ませ、いま下ってきた道を振り返りながら「帰りは、あの急な登りを登れっちゅうことなんやねぇ。つらっ〜!」大きな声の独り言が思わず口から出てしまうほどの急な石ゴロゴロ道でした。気合いをいれて進むとすぐ「桃太郎岩」が目の前に現れてきました。
記念撮影を梯子を登ると岩場ばかりの長い道が見えてきました。フィックスロープが垂れさがっているところもありますがロープを頼ることなく「気を付けて行こうね」と声を掛けあって三点確保でスムーズに怪我もなく、進行方向を示すテープを見逃さないように自分の好きな岩場を選んで進んで行きました。限りなく楽しい登山道です。天鳥川から1時間ほど登ると木陰の間から「大ヤスリ岩」が見えるようになりました。「おおっ!あれが写真に出ていた大ヤスリ岩か〜!デッカイなぁ!」 見上げる首が痛くなるほどの巨岩です。
 登山道からくっきりと富士山が浮かんで見えました。
瑞牆山の裏面を巻くように進むと2ケ所のフィックスロープが張ってあり、それを伝って上部の岩棚に出ました。コルに立つと「頂上まで10分」と看板が掛かっていました。青空も見えてきたことから頂上が間近であることがわかります。「あと3分で頂上やで〜!」「ハ〜イ」帰ってくる返事も明るいです。
頂上の岩場に到着しました。2230.2mの頂上からは勿論360度の大パノラマショーを楽しむことができました。「これやから登山は止められない!」と大声で叫んでしまいました。絶景です。靖ちゃんが雑誌に載っているポーズで写真がほしいという事で、一歩踏み外せば命の保証のない場所での撮影会がはじまりました。「そうそう・・・右手をもう少し上にあげて」苦労して登ってきた者にだけ頂ける至福のひとときを満喫しました。はるか下の方に大ヤスリ岩がそびえ立ち大峯の西ノ覗岩より怖いかも知れません。下をのぞくと高度感があってゾクッとします。平日とあって頂上には数名の登山者しかいません。風もなく太陽を燦々と浴び、昨日登った金峰山を眺めることができました。逆光の中にシルエットを浮かべて美しいです。富士山は当然ですが茅ケ岳、薬師岳、観音岳、地蔵岳、北岳、甲斐駒、編笠、権現、赤岳、小川山、金峰山がぐるりと見渡すことができ下山したくない気持ちで誰もが「さぁ降りようか?」の声掛けがありませんでした。しかしそうも言っておれず、ひとりリュックを背負うと仕方なく全員がやっとのことで下山体制をとることになりました。
 360度の意パノラマに別れを告げフィックスロープで登った急な岩場を滑らないように下りはじめました。先に通過した姫が下から「右足はここ、左足はここ」と誘導係をしながら無事全員が難所を通過することが出来ました。
 天鳥川のベンチでしばし休憩
岩場の下りは登りよりも神経を消耗し天鳥川まで、ほぼ同じ時間かかり下ってきました。ここでしばし休憩です。天鳥川から小屋までは急な九十九折りの小石の敷き詰めている道を登るだけです。これがまた大変なんです。全員無言で黙々と登り続け、道が穏やかになったころ、富士見平小屋の青い屋根が見えてきました。 
「小屋が見えました〜!」ここからは足取りも軽やかに、ゴールです。「ただいま戻りました!」管理人さんに挨拶をし、デポさせて頂いていた荷物をまとめ昼食用の小屋名物の「きのこうどん」を注文し、汁まで一滴も残さずいただきました。肉厚のきのこの感触がいまも舌に残っています。とても美味しかったです。
管理人さんご夫婦も八ヶ岳の麓にあるご自宅に帰るという事で一緒に林道を降りることにしました。小鳥たちの声に見送られ林道にはミツバツツジの蕾も大きく膨らみ、ところどころに石楠花も咲き6月には花街道となることが想像できます。「途中にワラビの群生場所がありますが採りますか?」管理人さんの言葉に靖ちゃんと姫は間髪入れずに「ハイ!」
軽トラを止めワラビ採りを楽しみました。イタドリと違いあまりうまく探せません。その証拠に私が採った後に同じルートを歩く管理人さんの手にはワラビがいっぱい〜壽ちゃんはヒロりんのために、私達は夕食の一品に沢山採れました。夏ごろまでワラビ採りが楽しめるそうです。林道の終了点は駐車場で、ここに自家用車をとめていて軽トラと2台で管理人邸のバラ園を見せて頂くことにしました。途中すこし遠回りをし天皇陛下が植樹祭をされたと言う瑞牆山の全景が見られる場所に案内をしてもらいました。
かれこれ1時間ほど走り管理人邸に到着。100坪以上あると言うバラ園と豪邸にめをまぁるくし、美味しいお茶を頂き管理人さんの趣味の骨董品の数々を見せて頂き、あつかましついでに温泉「たかねの湯」まで乗せて行ってもらいました。ここで管理人さんご夫婦とお別れです。会うときは楽しいですが別れはいつも寂しいものですね。人の出会いは知り合った長さではなく密度であることがよくわかりました。 
村営の温泉は地元の人達に愛されており設備も行き届いており夜行バス発車までの5時間あまりをここで過ごすことになりました。外に出ても何もない様子、それに雨と雷も激しくなって来ています。タクシーを閉館時間の10時に予約し、あとはお湯に浸かって畳敷きの休憩室で生ビールで乾杯をし行動食をつまみに、腹のすいた者はラーメンを食べたり、疲れた人は横になって寝たりと大広間を貸切状態で過ごしました。閉館間近になると廊下で掃除機の音がしはじめ「おっ帰れって言う事かな」という事になりロビーに移動しました。外を見ると雨も止んでおりタクシーのライトが見えました。迎えのタクシーの到着です。20分ほどで高速バス乗り場「長坂高根」で降車し高速道路のバス待合所の小さな箱の中で1時間以上過ごすことになりました。
ところがところがなんです。私達にはアクシデントの神様が付きまとっているのか、バス待合所の小さな箱の中は真っ暗闇でした。電気のスイッチを探しましたがどこにも見当たりません。「5人もいれば怖くないか〜」ひっきりなしに走る車のライトを頼りに山行の思い出話をしていると1台の緊急車両が点滅をして停車し、車から人が降りてきて我々に近づいてくるではありませんか。「何事ですか?」聞き役は姫に決まっていますが情報によると落雷でこのあたりの停電の通報があり調べていること、復旧に時間がかかるかも知れないのでバスが通過しないように時間間近になったら見張り番を立たせておくように言い置いて緊急車両は消えいて行きました。
 暗闇の小さな箱の中で退屈もしないでおしゃべりしていると大阪行のバスがやってきました。洒落た2階建てバスで3列で毛布、スリッパ、お茶などのサービスが整っており快適な移動車で小淵沢を過ぎたあたりで消灯となりぐっすりと眠りこみました。カーテンの隙間から薄日が差していて気が付くと、既に京都に到着でした。大阪までそう時間はかからず午前7時ジャスト、東梅田で降車しミーティングを済ませ、それぞれの自宅へとお別れしました。 
  みんなの感想 
●ポチさん

昨日は途中でバッテリー切れ状態が発生しましたが、今日は無事に頂上を踏むことができました。山と言うのは全部性格が違い難しいですね。登り、下りと、自分のペースで歩くことが出来ず、やはり登山経験がものを言うのでしょうか。富士見平小屋のご夫婦には大変お世話になりました。食事は120%大満足です。まだこの小屋をご存知でない人達にも、ぜひ人の温かさ、食事の旨さを味わってほしいです。
●靖ちゃん

今日は朝から富士山が見えてラッキーな1日になりました。瑞牆山には、岩がいっぱいあり結構な山で楽しかったです。体が重く足も遅くなりみなさんに迷惑かけたのではと思いましたが楽しく歩けてよかったです。富士見平小屋はオーナーの人柄も良く、山小屋なのに素晴らしいご馳走を頂き、また伺いたいと言う気持ちになりました。
●壽ちゃん

久しぶりに岩を登り、たまにはこういう山も楽しくていいなぁと思いました。少し足を痛めていたので心配しましたが思ったより支障なく歩けて良かったです。私も今年1年か来年ぐらいまでしか山には行けないかも知れないので今回誘っていただいてうれしかったです。富士見平小屋のご夫婦には、とても親切にして頂き情の深さを感じて心温まりました。
●ひ め

「同じ山へは登らない」百名山を制覇するまではそのつもりでしたが、金峰山と瑞牆山は「ぜひもう一度訪れたい」と思ってしまうほど素敵な山でした。山が良いと言うよりも富士見平小屋の管理人さんに魅せられてと言った方が正解かも知れません。山とは何ぞやをしっかりと学ばせていただきました。色々な山小屋で食事を頂きますが今回のようなおもてなしは初めてだったと思います。どう表現しても伝わりにくいと思いますのでぜひ!出かけてみてください。
●JON

瑞牆山(2230m)・金峰山(2595m)といずれも2000m以上あり、アルプスに順ずる山なのに、デイパックの小さなザックを背負った登山者や、単独行の登山者が多いのは驚きです。驚くのは70歳をすでに越えたと思えるような老齢の単独行者が目に留まるのはこの山域の特徴かも知れません。それは標高1515mまで車が入るためアクセスの良さがそうさせているのでしょうか。岩場の通過、ガレ場の歩行、天候の急変など山に潜む危険がいっぱいであると言うことを
念頭に入山してほしいものです。
0 美智子姫:記0000