高千良~風伝峠~通り峠~丸山千枚田展望所~通り峠~丸山千枚田~矢ノ川 2019.06.08
熊野古道 本宮道 風伝峠 通り峠 丸山千枚田
瀞流荘…(バス)…高千良~風伝峠~通り峠~丸山千枚田展望所~通り峠~丸山千枚田~矢ノ川…(バス)…(瀞流荘)
●第2日目 6月8日(土)曇りのち晴れ
前日の雨が嘘の様に止み、曇り空です。用心のため合羽と、わずかばかりのレーションとお茶をリュックに詰めました。朝食を済ませ、瀞流荘前を7時33分発のバスに乗り、昨日ゴールした高千良まで戻り、風伝峠へと歩き始めました。この道は、海辺と山村を結ぶ要路だったそうです。歩き始めの尾呂志地区は、田園と山並みが美しい山里です。古道では苔むした石畳が続き、巡礼者だけでなく海の幸を山里に届ける人や、山の幸を海沿いの里に届ける人が行交った時代が目に浮かぶようでした。
▲高千良バス停で下車 ▲登山口へ ▲高千良バス停で記念撮影
▲風伝の山並み ▲神木流紋岩の岩肌
風伝の朝霧(風伝おろし) この地にかかる朝霧は通称「風伝おろし」と呼ばれ、10月~5月頃の雨の後、翌日が晴れになる時に多く見られるようです。  
▲水稲 ▲グラジオラス ▲ナツスイセン ▲ガクアジサイ
▲上野の大杉
尾呂志川を見下ろす高台に、2本の大杉が立っています。 もと尾呂志城の鎮守地で、八幡様などを祀っています。
昔は、今より巨大な杉が立っていたらしく、明治3年4月17日、新宮領主水野忠幹が巡検に来た際に大杉の胴回りを測っています。
大きさは、47尺(約14m)もあったそうで、その元の大杉は明治18年10月1日の火災により、焼失してしまいました。
▲上野の宝篋印塔 ▲お地蔵様 ▲稲 田
▲ここも外国のお客様が多いのか 英語表記の案内板が付け足されていました
▲石畳は、神木流紋岩です  ▲風伝峠の押印所でスタンプ収得です   ▲石畳は、神木流紋岩です
風伝峠の麓では、秋から春にかけて、海側と山側の気温差が大きな季節の早朝に、山を包み込むようにして向かってくる巨大な朝霧(風伝颪)が見られるそうです。杉林の中に苔むした石畳道が続きます。熊野古道ならではの景色です。石質は、神木流紋岩です。
▲ ここが風伝峠です 茶店もありますがこの日はお休みでした ▲真ん中の草付きの道を上がります 
林道から少し上がったところが峠です。豊臣秀吉の奥熊野攻めなど様々な歴史的事件において、戦略の拠点となった場所です。風伝峠を降りると、本宮へ向かう本宮道と吉野方面へ向かう北山道に分かれます。北山道は世界遺産登録の対象ではありませんが、古くから生活道として使われ、海の幸と山の幸が行き交った道です。
▲風伝峠から丸山千枚田への道もあるのですが林道歩きになっるため 周りの景色を楽しみながらいったん国道311号へと下っていきます
▲丸山千枚田への案内板
▲風伝峠を出た所に車が7~8台駐車しています。三重ナンバーが多く「虫おくり」のために来られたのかと尋ねてみると「エホバの宣教師」の集団でした。こんな山奥にも来るんだ・・・。 
▲途中車道を離れ通り峠を目指して山道へ入ります
しばらく車道歩きが続きました。丸山千枚田の案内板や虫おくり行事の最中は一方通行になると書いてありました。「通り峠登山口」から再び山中に入って行きました。少し狭いですが、約800mの石畳道が残っていました。炭焼窯の石積みが残っているなど、かつての山の暮らしがうかがえます。 
▲通り峠道は細いながらもしかりとした石畳が敷かれていました
▲通り峠ですお地蔵さまや東屋があり疲れを癒すことができました
▲熊野古道伊勢路のアクセススタンプ収得!これで全て押印完了です  ▲これから丸山千枚田展望所へ170段の階段 
通り峠の東屋に腰を下ろしていると大きな三脚を背負った若者がやってきました。虫おくりの風景を撮影するために去年も訪れたそうです。170段の階段を登ると展望台があるらしいので行って見ることにしました。「100段」「75段」「50段」「25段」「おつかれさま」と、あと少しだよと言わんばかりの看板が余計に疲れに拍車をかけてヨッコラショと掛け声をかけないと登れません。
 ▲丸山千枚田展望所着いたぞお ▲千枚田を撮影に来たカメラマンの 山口さん ▲棚田に見とれる正ちゃん 
 ▲丸山千枚田展望所から見る棚田
やっとの思いで展望台に到着しました。「おおーっ!」目に飛び込んできたのは美しい棚田でした。山腹に築かれた約1平方kmの見事な棚田と山並みが一望できます。1601年には2240枚の水田があったと記録されています。まだ午前10時だと言うのに展望台に多くのカメラマンの姿がありました。場所取りをしているのだそうです。「えっ?夕方までここで?」と驚くと毎年来ているのだそうです。それほどに美しいのだそうです。
▲展望所から丸山千枚田に向かいます
▲ 通り峠道 丸山側登山口です ▲苔の美しさに目を見張ります 
展望台からの棚田風景を堪能し丸山千枚田の中を歩いて下り棚田の中心地と思われる大きな石の近くにドカッと腰を下ろしました。のどかで良い風景です。
棚田を所有する人達も高齢化を迎え、いまでは「棚田オーナー制]が取り入れられているそうです。 
『千枚田の復元により観光への活用が図られ一定の成果が得られましたが、棚田の保全には、多額の経費が必要で「日本の原風景を守る活動に賛同し、都市住民との交流を深める事により、一緒に千枚田を守っていこう」という趣旨のもと、1996年度からオーナー制度を実施しました。現在は財団法人紀和町ふるさと公社が運営し、千枚田保存会が管理している4.2haのうち、約1.6haをオーナー田として活用し、毎年全国から100組を超える申込があり、農業体験を通じて農村と都市住民との交流が図られている』ようです。オーナーの条件は、 丸山千枚田を愛し保全活動に理解があり、地域住民をはじめとした地域の人々とのふれあいを大切にできる人だそうです。
昼間の千枚田を楽しんだあとは国道迄出て、1時間待ちの路線バスに乗りホテルに帰ることにしました。すると偶然にも後方からバスが走ってきて私達の姿を見たのかハザードランプが点滅しました。「あれれっ?この時間にバスが走ってる~!それっ!バス停まで走れ~っ!」偶然にも朝の運転手さんで我々の姿を見て、ひょっとして乗車するのではないかと停車してくれたそうです。優しいねっ!助かりました!。どうも熊野古道の笠で朝の客だと確信してくれたようです。

矢ノ川にある千枚田・通り峠入り口を通る路線バスは2系統あったようです。木本高校・熊野市駅前から国道311号を通り瀞流荘の間を往復する便。
もう一つは紀勢本線で熊野市駅から4駅南にある阿田和駅近くの紀南病院から尾呂志を通り後地で国道311号に合流して瀞流荘を通り平谷へ行く便があったのです。
1系統しか知らなかったので本当に助かりました。運転手さん ありがとうございました

ホテルに戻りフロントで 炊き込みご飯弁当とビールを買い部屋でランチタイムです。とても美味しくいただきました。夕方の虫おくり行きのバス発車までは、タツプリと時間があるため温泉で汗を流し、おまけに昼寝をして夜の虫送りにそなえます